かけるの千住日記

04 January

ウエストサイド物語

お正月気分のぼんやりした頭で考えた。

昨年のいまごろ、劇団四季のウェストサイドストーリーを観た。

前半は、踊り、ダンス満載！のダイナミックな展開だ。
座席は前から７列目で、どちらかといえば舞台に向かって左寄りだったので全体を見渡すのに若干苦労する。
とはいえ、華やかで躍動感あふれるダンスは息を飲む程だった。

プログラムには、このミュージカルが作られた当初の振り付け師ジェローム・ロビンスのコメントが載っている。「この作品のダンスを終えて舞台の袖で立っていられる俳優はいない」。それほど、ハードだということだろう。その場で踏むステップのほかに、舞台を対角線上にほとんど全力疾走するようなステップもある。みていて爽快感があるのは、そのせいだ。逆にいえば、観ている人がスピード感を感じるほど、演じている役者は肉体的にエネルギーを発揮しているともいえる。

ちなみにプログラムの記載によれば、当時、エニイ・ボディという登場人物役の女優が、肋骨を折りながらも躍り続けたそうだ。これに関して「この程度で休んでいては、このショービズの世界で生きていけないよ」とコメントしたとか。

物語には、さまざまな社会的メッセージが散りばめられている。
いわずもがな、人種問題。
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物語の核ともなるのは、マンハッタンの片隅に若者達の２つの〈愚連隊〉「ジェット団」VS「シャーク団」の対立。ジェットはアメリカ生まれの白人の、シャークはプエルトリコ系移民の子どもたちという設定だ。プエルトリコの若者が、同じような仕事でも白人だ、アメリカに生まれた、というただそれだけの理由で給料は２倍、と嘆く。刑事は肌の色が違うだけで、あからさまに差別の言葉を吐き、白人の白人の若者には「おれはお前たちの見方だ」とうそぶく。

しかし白人の若者たちも、そんな刑事の暴言をせせら笑う。彼らの家族だって、幸福なわけじゃない。幸福だったら、若者同士でつるんで街を闊歩したりしない。

ある若者の親は離婚寸前、また別の若者の親はアル中だ。
ある若者は、姉も兄もTG（トランスジェンダー）。
それに、同じ「白人」といっても、イタリア系、ポーランド系、アイルランド系とさまざまで、シャーク団という明らかな「敵」がなければ、さらに細かな対立軸が生まれていたのかもしれない。

世代間格差もある。
白人居住地にある、シャーク団のたまり場「Doc」の店の主は、街を闊歩する彼らに対し、どうにかまっとうな道に進んで欲しいと願いときに批判的な言葉を投げかける。しかし彼らは耳を傾けようとしない。｢時代が違うんだよ、おっさん」。

そんななか、生まれる恋。
しかしそれは、シャーク団の元リーダー格トニーと、ジェット団のリーダーの妹・マリアの間の、「ゆるされざる」それ、なのだ。

やがて、ジェット団とシャーク団の「決闘」の場で、悲劇は起きる。
シャーク団のリーダーリフと、ジェット団のリーダーベルナルトがともに、決闘中の事故で、ナイフに刺され死んでしまうのだ。しかも、避けられなかった事故とはいえ、マリアの兄・ベルナルトを刺したのは、マリアの愛するトニー。

決闘の場から逃げてきたトニーは、すべてを察したマリアに「人殺し」となじられる。しかし、その晩、肉親を亡くした悲しみ、また、愛する恋人の兄を殺してしまうという絶望感をも乗り越え、二人は結ばれる。

逃亡の約束をした二人は、夜更けに再び街の外れで出会う。しかしその直後、マリアの元許嫁によって、トニーは射殺されてしまうのだ。

何年か前に、「本場」ウェストサイド物語を観劇した。
記憶と照らせば、若干、躍動感やダイナミズムは「本場」が上回っていたような気は、する。

しかし、舞台上を歌い躍り、所狭しと動き回る役者たちがうらやましい。

うわ。そこに落ち着く？

運動不足だろうか。

16:34:00 | tenkakeru | |

09 December

「コルテオ」とルミネ北千住のお惣菜

コルテオを観賞した。
面白かったけど、私はあまりシルクドソレイユの世界を好きではないのかもしれないとも思った。いや、もしかしたら、「今そういう気分じゃない」ぐらいのものかもしれないが。

あれらのパフォーマンスは「すごい！きれい！かわいい！おもしろい！」と、ひと言で済む形容詞で表されるものだ。これを素直に発しつつハッピーになるのが、「正しい」観賞者の姿勢だと思う。

たしかにね。そうです。はい。
苦情や文句の対象ではない。これまでみたことのない類いのもんを「評価」するのもおこがましいし、そもそも、出来ない

「会場での飲食」についてだ。

観賞時間が昼食時ということもあり、私は、北千住ルミネで、SUSHI COASTの創作寿司やRF１の生春巻きや豆藤の京風そうざいや、まい泉のヒレカツサンドを購入して喜々として会場に向かった。（しかしそんなに買うか！）相方には「ビールを頼む」と依頼。会場で宴会でもするつもりだったのか、って感じの私だ。

以前ZED を観たときに「会場内飲食OK」だったことを記憶していたのと、今回の会場案内HPに「飲食OK」の文字を「ちらっと」見かけたからだ。

しかし、入口では「会場内への飲食物は禁止させて頂いております。ご持参された方は入場前にお召し上がりください」と叫ぶスタッフの姿が。

えー、うそー、聞いてねーよー。

と思った。館内で飲食可能な飲食物は、会場内foodコーナーで販売しているもののみ、であったのだ。詐欺詐欺ー。ってきっとよくHPの情報を読めば、事前に知り得たことだったに違いないが。

そこで我らは隣接する代々木公演の植栽ブロックに腰を下ろし、恵比寿ビールと惣菜群をぱくつくことに。開演３０分内で、ちょっとばかり慌ただしかったが、私のチョイスしたフードはどれもとても美味しく、久々の本格恵比寿ビールも美味で、文字通り密度の濃いランチタイムと相成った。

因みにコルテオの正式HPの「よくある質問」コーナーに、ちゃんと以下の注意が記載されていました。
「食品衛生管理上、会場外からの飲食物の持込はご遠慮願います。会場内での販売をご利用ください。ただし、小さなお子様のミルクや離乳食などに関しては、必要に応じて持ち込み可能です。」

とありました。

私たちの場合、「小さなお子様」ではないし、ましてや惣菜群は「離乳食」恵比寿ビールは「小さなお子様のミルク」には、やっぱり当たらないよねー。

でもキホン、サーカス、なんだからその精神を受け継いで飲食に関しても庶民的な扱いにしてよかったんじゃないのかしら。ぶちぶち。

でも食べながら飲みながらは、確かに、忙し過ぎるかもの目まぐるしく盛りだくさんなパフォーマンスです。
たとえ、持込みOK だったとしても、私の「購入状況」は、いかがなものか、ではあった。

11:07:00 | tenkakeru | |

21 November

上野にて

国立西洋美術館に赴いた。
いや、ほんとはフェルメール展にいかふと予定していたのだが
チケット売り場が長蛇の列。気持ちが萎えてしまい
やめたのだ。
代りに・・・という極めて不純な動機で、同館を訪れたのだ。
でもずっと惹かれていたのはホントウ。って、あの国立西洋美術館の
佇まいに、である。上野駅公園改札から出て、科学博物館だの、
動物園だのに行く場合、必ずあの、威丈高、もとい
清楚な？うーん、貴賓あふれる建物の横を通ることになる。
なんだか、とっても敷居が高そうで、でも、凛とした
気分になれそうな美術館やなああ。と思っていた。

期せずしてその機会が本日、訪れたのである。

企画展は「ヴィルヘルム・ハンマースホイ　静かなる詩情」

いやあ、良かったなあ。
部屋の中を淡々と描いた作品群、と思いきや、そこには狡猾ともいえる
計算高い、挑戦が、存在するのである。
絵画の中に描かれる「陰」の方向が同じであるはずのものが
違っていたり。ピアノの足が、よくみるとなんだか一本足らなさそうに
見えたり。女性の足が、椅子と重なっていて、ミョウな具合に見えたり。
たくさんの「仕掛け」が隠れているのだ。

そして、部屋のなかに、黒いドレスを着て後ろ向きに立つ女性。
これはハンマース・ホイの妻だということだ。
しかし、絵画のなかの妻に、みじんの愛情も慈しみの心も感じられない。
あるのはただ、自らの芸術性に関する実験的な行為。

風景も、まるで核爆発後の世界のように、シンとして「とまって」いる。

面白いなあ。

いつまでも眺めていたくなる。でもちょっとココロもシンとしちゃうかも。

常設展、マネ、モネ、ゴーギャン、ルーベンスなどユウメイドコロの
絵画をみたら、なんだか肩の力が抜けたあ。

16:14:00 | tenkakeru | |

19 November

ほっこり。

昨日、イラストレーターの加藤さんと昔着物屋Ponia-ponさんの
コラボレーション展に赴きました。
ほっこりして、かわいくて、素敵な、展示会でした。
いいなあ、着物。

なによりも、大好きなことをこんなカタチで、他の方と
時間と空間を共有できるということがすばらしいなあ、と
思いました。
きれい、可愛い、を純粋にこころから思い切り楽しめる、
そんな特権が「おんなのこ」たちにはあるのさ！
と声高にリズム付きで言いたくなってしまふ。

http://illustrator-mikikatoh.cool.ne.jp/info/info.html

お時間があれば、皆さんぜひ足をお運びになってみてくださいっ。

16:58:00 | tenkakeru | |

08 November

蒼と薔薇色の時代から。

サントリー美術館と国立新美術館を訪ねた。
そうっす。
ピカソ展を観にいったのだ。

幸せな人だなあ、ピカソっていう人は。
これが率直な感想だ。

見たまま、葛藤、怒り、哀しみ、喜びetcすべてを
絵画や彫刻に表現した。それが世間で評価された。しかも生きているうちに。

なんて素敵な人生だろうか。

彼に愛された女性たちはたまったもんじゃなかったかもしれなけれど。
自ら彼のもとを去った女性がひとりいた。
勇気ある人だ。しかし、彼女の晩年がどうだったのかは分からない。
情念と情熱の男、ピカソとのある意味「闘い」の末、彼女のエネルギーは最終的には、どこへ向いただろうか。

親友の死をも芸術表現に昇華させた。
圧政や戦争の悲惨さを思いきりよくキャンバスにたたき付けた。

そんなふうに気持ち良く、自分の人生を生ききることができたら
素晴らしいな。
あーでもないこーでもないと、「その場で足踏み」するなんて
勿体ない。

そんなことをふと考えた。

シュルレアリスムもキュビズムも通過点でしかなかった、ピカソ。
耽溺して悩み抜いて堕ちていくなんていう馬鹿げたことをしなかった。

ふむ。天才芸術家とはかくあるべきなのだな。

16:59:00 | tenkakeru | |

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