かけるの千住日記

Archive for July 2012

31 July

潘先生から？

オークションで落とした、ある商品が中国から届いた。
取引の過程における言語は日本語だったけれど。
２週間近くかかったが、やっと届いた。忘れかけたころだったので、不在票を見て「？」となった。
送り主が「潘先生」となっていたからだ。
いかにも日本人ぽくない名前だ。私にそんな恩師がいたかしら。しかも中国に。
とっても子どもっぽい発想をまずしたわけだが、はたとオークションの件を思い出した。
商品は中国から届きますよ、とのことだったのだ。
しかし先生って、送り主の名前に付与するものなのだろうか。
中国語なら先生は、もじどおりだと聞いた記憶がある。先に生まれた人、との意味だ。
「～さん」といったちょっとした敬称として用いる場合もあるとか。
そんな、あなた、私より年上だってどうして分かるわけ？
あるいは、自分に敬称をつけますか？
見ず知らずの人に向けた荷物にスズキおばちゃんよりとは書かないし。
日本でスズキさんが何か荷物を送るとき、送り主の欄に「スズキさんより」とも書かないし。

疑問がふつふつと脇、たらたらとネット検索していたら、似て非なる中国語、っぽいサイトに
次のような例が載っていた。ほー。である。

放心＝安心する、邪魔＝悪魔、勉強＝無理をする

というわけで、だがしかしちっとも謎は解明されないままなのだが。
送付に使われた中国の切手はなにかちょっとキレイなので、しばらくとっておこう。

22:44:00 | tenkakeru | |

25 July

不覚にもヒトミに水が。

不覚にも、涙が出そうになった。
まじめで勤勉、忍耐づよく、頭脳明晰なニッポンジンだ。
黒部第四ダム建設、とくに大町トンネル建設の経緯、みたいな映像をみているときのこと。
まず頭に浮かんだのは、何人の方が命を落とされたのだろうか、ということだ。
もしかしたら、家族にも知らされず、亡くなった「無名」の方もいらしたかもしれない。
 
映像を見進めるうちに「ニッポンジンはすごい！　知識と経験を結集し、関係者一丸となって難攻不落の環境に挑んだ！」と私のココロは、ふるえる。ただひとつ、自然の用意した「軟弱な要塞」（bykonuta）を攻略したという事実に。たとえようのない誇らしさを感じるあたしだ。単純なのは分かっているのだ、うんうん。だけどだけど！
 
かっこいいぞ。
 
ヒトビトの前に立ちはだかったのは、本の数メートルに及ぶ「破砕帯」だったそうだ。
この破砕帯という言葉。地質の世界の専門用語であろう。それを、まるで「消費税」やら「エネルギー問題」のように一般の人々に知らしめた。クロヨンダム建設に係るトンネル掘削にあたって、この魔物のような自然の脅威を乗り越える必要にかられていたころだ。
 
80メートルの掘削に７カ月間。
 
当時の設計・ディレクション側と現場マネジメントの連携状況は、まるでNASAの宇宙ステーションと宇宙船クルーみたいだ、と思ってしまう。
 
一方、本日。ボンヤリとテレビをみていたら、某電力会社の重大な事故当時の「テレビ会議」なるものの公開が「情報公開」の名の下なされた旨、報じられていた。
テレビではキャスターなる人が「音声はほんの一部しか公開されていない」こと、「見せている内容はあえて政府側に『見せたい』内容」であること等を、その問題点として伝えている。「情報公開と広報を取り違えているのではないか」との声も聞こえてきた。
もし本当にそうだとしたら、なんだかなんだかだなああ。
 
かっこわるいぞ。

22:46:00 | tenkakeru | |

22 July

舞台：アルジャーノンに花束を（by　キャラメルBOX）

知恵おくれの青年が、「頭がよくなる」脳の手術を受け飛躍的に高い知能を獲得していく。
「ぼくはあたまがよくなりたい」。
「のろまで、なにをされてもいつもわらっている」青年がいつしか何十カ国も理解し１日２０冊もの本を読み、学会の重鎮たちでさえあっと言わせる新説を導き出して論文を発表するような、「天才」になっていく。
その過程で彼は、それまでの人生で人々が向けた自分への視線が決して好意的なものではなかったし、なかには「イジメ」に近い仕打ちもあったことに気づいていく。

先生として尊敬していた女性に対してはいつしか異性としての愛情を抱くようになる。

一方、生まれ育った家族で、「正常」を望む母親や実の妹が自分を余分もの扱いしていたという哀しい記憶も蘇る。いつもかばってくれた父親の姿も。そんな家庭を彼は再び訪ねるが、父親は彼を覚えていない。母親はもはや、現世に生きる人ではなくなっている。妹は過去の自分の仕打ちを覚えていない。
彼は、家族とまた、決別する。

やがて、彼の「知性」は再び変化を始める。今度は下降だ。ついこの間まで読めた本は何が書いてあるのか理解するのに時間がかかり、自分が書いた論文をまるで他人が書いたもののように感じるようになる。

最後にはまた、元通りの彼に返る。
彼はいつもにこにこしている。いまいる場所に満足している。仕事も大好きだ。親切な雇い主のためにはいっしょうけんめい働きたい。それだけ。

周囲はもう、そんな彼を馬鹿にしたりしない。知性を得たときも彼は、変わらず周囲に対する感謝を忘れず仲間を大切にする人間だった。それが「彼」なのだと知っている。そんな彼が、失敗をしたり、彼を知らない人から馬鹿にされたりしたら放ってはおかない。

ただ彼は、知性を得た時期に心から愛した女性に抱いた、一人の男性としての愛情をすでに持ち合わせていない。ぼんやりと、「あのころ」の感情を思い出せる。だけどそれが本当はどういう気持ちになるものだったのか、実感を伴って思い出すことは、もはや出来ない。

今の彼には、今居る場所に居ることに感謝し、せいいっぱいに幸せに生きるしかない。いまのままで、十分満足。それ以上でもそれ以下でもない。誰も恨みはしないし、後悔もしていない。そのすべを知らないから。

なんだか泣けるんだけど、すごく残酷な話だと思う。
知性を得た彼に対して、「今のあなたと話していると、まるで自分が何もしらない愚か者のように感じる。昔のあなたのほうがもっと優しくあたたかさを感じた」などと周囲は言う。それはあまりに一方的な自己中心的な解釈じゃないか、と私は思う。天才が嫉妬の目を向けられ、差別を受ける、という構図はあまりにも不公平じゃないか。むずかしいな。

視点を変えると、いかようにも解釈が可能、ともいえるのかな、このお話は。
これはまた原作を読んでみたくなるぞ。

しかしキャラメルBOXの持ち味が抑制されているように感じた。
原作への忠実度が高いというか。いやこれも私がいますんごく日常的に眠くて不機嫌な状態だからなのかもしれない。

21:45:10 | tenkakeru | |

08 July

打男

美しくタクマしい筋肉が、しなやかにしなり、力強くリズミカルに、文字通り「たたき」出す、DADAN!!!と。
観客は、聴くとか観賞するというより、その引き締まり、禁欲的な音のなかに知らずに引き込まれている。
打男。
だお、ではない、DADANと読む。なお、鼓童のだお、だおだああ！と興奮していたら、のちに「だだん」と読むことを知り赤面した私である。

坂東玉三郎演出、鼓童performの和太鼓の公演。

私がはじめて鼓童の公演をみたのは、佐渡島の小木港で行なわれた「アースセレブレーション」というイベントにおいてだった。思い起こせば２０年以上前。
パンフレットを見ると、パフォーマーたちはほとんどが80年代生まれだ！（うわー）私が女子大生ブームでブイブイ言わせていたころではないか！（フィクションです）
小木港で鼓童を見たころは、彼らはまだ５ー６歳の少年だった計算だ。時は過ぎたのだなあ。遠い目をするわたしがいる（涙）

上半身から下半身にかけては、腕の動きにつれて筋肉が動く程度でどっしりと、微動だにしない。
その腕はまるで丸太ん棒のようだ。（引き締まっているのだろうが、形状はどうみても「ハム」なんだけど）
これが目に見えないほどの速さで動いて細かで繊細なリズムをかもすかと思えば、まるで何かに向かって叫ぶような、
祈るような激しい音とリズムを、「たたき」出す。ただしかし、激しいが攻撃的ではない。心地よく、かつ気持ちをふるい立たせる音。どこか神聖な雰囲気さえ感じられる。
約１時間４０分、たたきっぱなし。全身、まるで水を浴びたかのように汗みずくになる。

でもたいそうな贅沢をいえば、鼓童は佐渡島で聴く（感じる）のがよい。
アース・セレブレーションの雰囲気は　http://www.kodo.or.jp/ec/
別にまわしものではないけれど。ええで～。
しかし小木港で、帰りのフェリーを待つ間に立ち寄った居酒屋のおばちゃんに「あんたらは夏だけ来て楽しく佐渡島で過ごしているからね～、冬の厳しさは知らないから…」と言われたのを思い出す。
しょせん、ひとなつのお気楽旅行者なトカイモン、をおばちゃんは、ちくりと優しく少しだけ指した。

ちなみに、本日の公演の最後に坂東玉三郎さんが登場されましたが、個人的には背広姿がいまいちサマになっていなかったのではないかと思いました。ちなみに、です、ちなみに。

23:07:39 | tenkakeru | |

07 July

近辺の英断。

自宅近くのスーパーで、とうとうレジ袋が有料となった。
前段階として、「レジ袋無し申請をすると買い物総額から２円引き」というシステムが運用されていたが、このたび華々しく「必要な場合は３円で販売」ということになったのだ。

私は２円引き時代から、なるべくレジ袋はもらわないようにしてきた。
エコのためではなく、ひとえに２円節約のためだ。
２円ぐらいでジタバタしても大勢に影響無しともいえる。
私はチューインガム愛好家の私は、しょっちゅう店舗も価格も選ばず粒ガムを購入する。そして同じガムでも２０円ほどの価格差があるが、「口さみしいと思ったときが、入手どき」というマイルールを真面目に実践している。だから、ちょっと冷静に考えてみると２円の節約が、大きく家計に貢献しているとは言えない。
しかし、レジの合計時に２円引かれる瞬間というのは、小さなヨロコビを感じる庶民の私だ。
レジ袋は、ゴミ袋として使うので、無駄になることはないのだが、ささやかな達成感と幸福の積み重ねが自己向上にもつながる、との信念のもと、結果的にスーパーの意図する「エコ」に貢献してきたのだ。

ただ、私はかなりあくどくせこい。
買い物の荷物を詰める台にはたいていのスーパーに、透明な袋が設置してある。
私は、これをそのときに必要な分量以上にしっけいしていく。生ゴミをまとめたり、一部使用した肉や野菜を小分けするのに使うためだ。あるいは旅行に行くときに、下着類を入れるために持参することもある。

しっけいするたびに「レジ袋 NOだけど、俯瞰してみると、これは逆に資源を無料で無駄使いしていることになるのではないか？」という疑問がわく。小心者のこころに、若干の良心の呵責の念が生じることは否めない。

今回、冒頭のスーパーで７月１日より「レジ袋のためにお金を支払う」というシステムが導入されたことにより、改めてマイ袋あるいは空き段ボール箱を使用する決意が固まった。
でも、そうすると、買い物の量を押さえ気味にしている自分がいたりする。
考えてみるにこれは、店側にとってみるとマイナス効果ではないのだろうか。

…そうやって、さまざまな角度から、本件を考察してみると、当該スーパーのこのたびの対応は英断といえよう。
まてよ、「売上げ減のおそれとビニル袋の、いっそうの大量喪失（注：私がおこなっているような）という犠牲を払ってまでも、エコ優先姿勢をつらぬくスーパー」と、多くの客が理解するとなれば、実質的な経済効果よりも、イメージアップによる長い目でみた生き残り作戦ということもできよう。

モノゴトは、一面的にみちゃいかんな。
でも家計上の節約はやっぱり、「いまいま必要ではない、とりあえず手に入れとこう」的よけいなものを買わないのが一番であろう。
その点私は自信をもって違う、といえよう。嗚呼。

17:19:45 | tenkakeru | |

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